メッセージ
はじめに
パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)は、脳の「中脳黒質」という部分にある、ドパミンをつくる神経細胞が徐々に減少することにより、手足のふるえ、動作の遅さ、筋肉のこわばり、歩行障害などの運動症状をはじめ、さまざまな症状をきたす神経疾患です。
発症の原因については、現在も十分には解明されていません。また、残念ながら現時点では病気そのものを根本的に治す治療法は確立されていませんが、症状を和らげ、日常生活を支えるための治療法は進歩しています。
治療の基本となるのは、L-ドパ(レボドパ)をはじめとする薬物療法です。薬物療法によって症状の改善が期待できますが、病気の経過とともに、薬の効いている時間が短くなる「ウェアリングオフ」や、自分の意思とは関係なく身体が動いてしまう「ジスキネジア」などが現れ、薬物療法だけでは日常生活を十分にコントロールすることが難しくなる場合があります。
そのような場合に検討される治療選択肢のひとつが、脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)です。
DBSは、すべてのパーキンソン病患者さんに適した治療ではありません。しかし、適切な患者さんに適切なタイミングで行うことで、運動症状や日常生活の質を大きく改善できる可能性があります。
「脳の手術は怖い」「DBSについてよく知らない」「もっと病気が進行してから受ける治療だと思っていた」といった理由から、DBSが治療選択肢となり得る場合でも、DBSを専門とする医師への相談に至らないことがあります。
大切なのは、DBSを「受けるか、受けないか」を最初から決めることではありません。
まずはDBSがどのような治療なのかを正しく知り、ご自身にとって治療選択肢となるのかを、適切な時期にDBSを専門とする医師と一緒に考えることです。
このサイトでは、パーキンソン病患者さんとそのご家族に向けて、DBSの仕組み、効果、治療を検討するタイミング、手術の方法、治療後の生活について、できるだけわかりやすくお伝えします。
これからの治療を考えるための一助となれば幸いです。
開設者プロフィール
順天堂大学
脳神経外科学 教授
梅村 淳うめむら あつし
はじめまして。私は1961年生まれの脳神経外科医です。
脳神経外科医としてのキャリアの前半は、脳血管障害を中心に幅広く脳神経外科診療に携わってきました。
その後、米国留学を機に、パーキンソン病に対する脳深部刺激療法(DBS)を専門的に学びました。
留学中、薬物療法だけでは症状のコントロールが難しかった患者さんが、DBSによって症状を劇的に改善する姿を目の当たりにし、この治療の可能性を強く感じたことが、その後DBSを専門とするきっかけとなりました。
帰国後、2003年より名古屋市立大学でパーキンソン病に対するDBS手術を開始しました。2012年には順天堂大学へ移籍し、20年以上にわたりDBSを中心としたパーキンソン病の外科治療に取り組み、2003年から現在までに1,000例以上のパーキンソン病に対するDBS手術を行いました。※2026年11月時点
DBS治療に携わるなかで強く感じてきたのは、
DBSは「最後の手段」ではなく、適切な患者さんに、
適切なタイミングで検討することが重要な治療であるということです。
このサイトでは、これまでの経験をもとに、DBSについて患者さんやご家族にできるだけ分かりやすくお伝えしたいと考えています。
略歴
- 1986
- 名古屋市立大学医学部 卒業
- 1991
- 名古屋市立大学大学院医学研究科
修了(医学博士) - 1993
- ロンドン大学神経学研究所 留学
- 1995
- 社会保険浜松病院脳神経外科 医長
- 2000
- 名古屋市立大学医学部脳神経外科
講師 - 2002
- ペンシルベニア大学機能的脳神経
外科 臨床フェロー - 2009
- 名古屋市立大学大学院医学研究科
脳神経外科学 准教授 - 2012
- 順天堂大学 運動障害疾患病態研究・治療講座 先任准教授
- 2018
- 順天堂大学 運動障害疾患病態研究・治療講座 特任教授
- 2023
- 順天堂大学 脳神経外科学 教授
(現在に至る)
研究業績・資格など
資格など
- 一般社団法人日本脳神経外科学会認定
脳神経外科 専門医・指導医 - 日本定位・機能神経外科学会 副理事長/
技術認定委員会 委員長 - 日本パーキンソン病・運動障害疾患学会
評議員