よくある質問
DBSの適応に関する質問
回答:「薬はよく効く。でも、その良い状態を一日を通して維持できなくなってきた」という患者さんです。
DBSの効果を予測するうえで重要なのが、L-ドパに対する反応です。
たとえば、薬が効いているオンのときにはよく動けるのに、薬が切れたオフになると急に動きにくくなるなど、オンとオフの差が大きい患者さんはDBSによるメリットが期待できます。
また、ジスキネジアのため薬の調整が難しい場合や、薬では十分に改善しない強いふるえがある場合にもDBSを検討します。
年齢だけで適応を決めることはありません。症状、L-ドパへの反応、認知機能、全身状態、そして「DBSによってどのような生活を取り戻したいのか」を総合的に評価して判断します。
回答:DBSを行っても十分な効果が期待できない場合や、手術のリスクがメリットを上回ると判断される場合には、DBSをおすすめしません。
たとえば、L-ドパを服用しても動作緩慢や筋強剛などの運動症状がほとんど改善しない場合には、DBSによるこれらの症状の改善も期待しにくくなります。ただし、ふるえについては、薬が十分に効かなくてもDBSが有効な場合があります。
また、多系統萎縮症(MSA)や進行性核上性麻痺(PSP)など、パーキンソン病以外のパーキンソン症候群では、通常DBSによる十分な効果は期待できません。
高度な認知機能低下や、コントロールされていない重い精神症状がある場合、全身状態などから手術のリスクが高い場合にも慎重な判断が必要です。
当院では、診断、症状、L-ドパへの反応、認知機能、精神状態、画像検査、全身状態などを総合的に評価してDBSの適応を判断します。
DBSが適していない場合でも、そこで治療の選択肢がなくなるわけではありません。
薬物療法の再調整や、他のデバイス治療を含め、その患者さんに適した治療方法を一緒に検討します。
回答:厳密な年齢制限はありません。当院では75歳未満をひとつの目安としていますが、年齢だけでDBSの適応を決めることはありません。
一般に、年齢が高くなるほど手術に伴うリスクや認知機能、全身状態などをより慎重に評価する必要があります。
一方、同じ年齢でも身体機能や認知機能、全身状態には大きな個人差があります。そのため、75歳以上、場合によっては80歳以上であっても、年齢だけを理由にDBSの対象外とするわけではなく、個別に検討します。
当院では、年齢だけでなく、運動症状、L-ドパへの反応、認知機能、全身状態、日常生活の状況、手術によって期待できるメリットなどを総合的に評価して判断します。
回答:軽度の認知機能低下があるだけで、直ちにDBSを受けられなくなるわけではありません。ただし、認知症がある場合には、原則としてDBSはおすすめしません。
DBSでは、手術後も刺激調整や薬剤調整を続けていく必要があります。そのため、治療について理解し、医療スタッフやご家族と協力しながら長期的に治療を続けられることが重要です。
また、もともと認知機能が大きく低下している患者さんでは、手術後に認知・精神面の問題が生じるリスクについても慎重に考える必要があります。
軽度から中等度の認知機能低下がある場合には、その程度や内容、日常生活への影響、運動症状、DBSによって期待できる効果などを総合的に評価し、患者さんごとに判断します。
回答:原因や症状の程度によって異なります。幻覚や妄想があるだけで、直ちにDBSができないというわけではありません。
パーキンソン病では、病気そのものや抗パーキンソン病薬の影響によって、幻覚や妄想などの精神症状が現れることがあります。
薬剤性の幻覚や妄想の場合には、薬剤を調整することで症状が改善することがあります。DBSで運動症状を改善し、原因となる薬を減量できた場合には、結果として精神症状が改善することもあります。ただし、減量の可否や程度は患者さんによって異なります。
一方、薬剤調整を行っても強い幻覚や妄想などが持続している場合には、DBSによって精神症状が悪化する可能性も考慮し、適応を慎重に判断します。
また、ドパミン作動薬などの影響により、病的賭博、過剰な買い物、過食、性行動の亢進などの「衝動制御障害」がみられることがあります。
この場合には、まず原因となっている薬剤の減量・変更などを検討します。DBSによって運動症状を改善し、原因となる薬を減量できた場合には、衝動制御障害が改善することもあります。
ただし、DBSそのものを幻覚・妄想や衝動制御障害の治療として行うわけではありません。
当院では、こうした精神症状についても手術前に詳しく評価し、DBSによって期待できるメリットとリスクを検討したうえで適応を判断します。
回答:いいえ。DBSは「最後の手段」として行う治療ではありません。適切なタイミングで検討することが大切です。
DBSを検討するひとつの目安は、
「薬を飲めばよく動ける。でも、その良い状態を一日を通して維持することが難しくなってきた」
という時期です。
たとえば、薬の効いている時間が短くなった、オンとオフの変動が大きくなった、ジスキネジアのため薬の調整が難しくなった、オフのため仕事や趣味などに支障が出てきた、といった場合にはDBSを検討するタイミングかもしれません。
DBSは早ければ早いほどよいという治療でもありません。年齢や病気の期間だけでなく、症状、L-ドパへの反応、仕事や日常生活への影響、認知機能、全身状態などを総合的に考えて適切な時期を判断します。
特に比較的若い年齢で発症し、今後も長期間にわたって治療が必要になる患者さんでは、将来の治療選択肢のひとつとして、早めにDBSを専門とする医師へ相談しておくことをおすすめします。
DBSについて相談することは、手術を受けると決めることではありません。
「自分にはいつ頃DBSを検討する可能性があるのか」を知っておくことも大切です。
回答:はい。DBSはパーキンソン病以外の不随意運動症に対しても行われています。
代表的なものとして、本態性振戦などの難治性振戦やジストニアがあります。
病気によってDBSの適応や刺激する脳の部位は異なります。これらの症状でお困りの方もご相談ください。
DBSの効果に関する質問
回答:一言でいえば、「薬がよく効いているときの良い状態を、より長く安定して保つ」ことを目指す治療です。
DBSは、パーキンソン病の動作緩慢、筋肉のこわばり(筋強剛)、ふるえ(振戦)などの運動症状の改善が期待できます。
特に、「薬を飲めばよく動けるけれど、効果が長く続かない」「オンとオフの変動が大きい」という患者さんに効果が期待できます。
DBSによってオフ時間を減らし、一日の中で良い状態をより長く保つことを目指します。また、患者さんによっては薬を減量でき、ジスキネジアの改善につながることもあります。
ただし、オフが完全になくなるとは限らず、すべての症状を改善できるわけでもありません。
回答:まず、なぜ十分な効果が得られていないのかを詳しく調べます。DBSは手術をして終わりではなく、術後の刺激調整が非常に重要な治療です。
十分な効果が得られない場合には、電極の位置、刺激に使用する電極の場所や方向、刺激の強さ、薬の量などを改めて確認し、刺激設定と薬剤を調整します。
特に最近のDBSでは、ディレクショナルリードや画像ガイドプログラミングなどを利用して、より細かな刺激調整を行うことができます。
一方、L-ドパで改善しにくい歩行障害やバランス障害、発語の問題などが主な困りごとの場合には、刺激を調整しても十分な改善が得られないことがあります。
「DBSが効かない」とすぐに判断するのではなく、「なぜ効いていないのか」を評価し、手術・刺激・薬剤の3つの面から治療を見直すことが大切です。
回答:DBSによる運動症状への効果は長期間持続することが期待できます。ただし、DBSによってパーキンソン病そのものの進行を止めることはできません。
DBSは、特にふるえ(振戦)、筋肉のこわばり(筋強剛)、動作緩慢などに有効で、これらに対する効果は長期にわたって期待できます。
一方、パーキンソン病そのものは徐々に進行するため、DBS治療を続けていても、年月とともに症状は変化します。
特に、声が小さくなる・言葉が不明瞭になる、飲み込みにくくなる、バランスが悪くなるなどの症状は、薬やDBSが効きにくいことがあり、病気が進行すると次第に目立ってくることがあります。
そのため、「DBSをすれば病気が進行しなくなる」のではなく、「DBSで改善できる症状を長期的にコントロールしながら、病気とうまく付き合っていく」と考えることが大切です。
回答:効く場合と、効きにくい場合があります。ひとつの目安は「L-ドパを飲んだときに改善するかどうか」です。
オフのときに足がすくんで歩けなくなり、薬が効くと歩けるようになる患者さんでは、DBSによってオフ時間が減ることで、すくみ足や歩行が改善することが期待できます。
一方、薬がよく効いているオンのときにも残るすくみ足や、病気の進行に伴うバランス障害・転倒については、DBSで十分に改善しないことがあります。
そのため、「歩けない=DBSで歩けるようになる」とは限りません。
手術前にオンとオフの歩行状態を詳しく確認し、どの程度DBSによる改善が期待できるのかを評価することが重要です。
回答:DBSは主に運動症状を改善する治療であり、自律神経症状や嗅覚障害に対する効果を主な目的として行う治療ではありません。
パーキンソン病では、便秘、頻尿、多汗、立ちくらみなどの自律神経症状や、睡眠障害、嗅覚障害など、運動症状以外にもさまざまな症状がみられます。
これらの症状に対するDBSの効果は一定ではなく、これらの改善だけを目的にDBSを行うわけではありません。
ただし、睡眠については、夜間の筋肉のこわばりや寝返りのしにくさなど、夜間のオフ症状によって眠れない患者さんでは、DBSによって夜間の運動症状が改善し、結果として睡眠が改善することがあります。
つまり、睡眠そのものを直接治療するというよりも、夜間のパーキンソン病の運動症状を改善することで、よく眠れるようになる場合があります。
回答:特に視床下核(STN)を標的としたDBSでは、薬を減量できる場合があります。ただし、薬を完全にやめることがDBSの目的ではありません。
減量できる程度は患者さんによって異なり、多くの場合はDBSと薬を組み合わせて治療を続けます。
また、ジスキネジアがある患者さんでは、DBSによってオフ症状が改善した後、刺激の効果を確認しながら薬を適切に減量することで、ジスキネジアの改善を目指します。
薬を減らしすぎると、動作緩慢などの運動症状だけでなく、意欲や気分などに影響することもあります。そのため、自己判断で薬を減らさず、DBSの刺激調整と合わせて少しずつ調整することが重要です。
DBSの目標は「薬をゼロにすること」ではなく、「DBSと薬をうまく組み合わせて、一日をより安定した状態で過ごせるようにすること」です。
回答:いいえ。現在のところ、DBSによってパーキンソン病そのものの進行を止めることはできません。
DBSは、パーキンソン病で乱れた神経回路を電気刺激によって調整し、動作緩慢、筋肉のこわばり(筋強剛)、ふるえ(振戦)などの運動症状を改善する治療です。
そのため、DBSによって症状が大きく改善しても、病気そのものが治ったわけではありません。
年月とともに病気が進行すると、言葉、飲み込み、歩行やバランス、認知機能など、DBSでは改善しにくい症状が目立ってくることもあります。
それでも、DBSで改善できる症状をできるだけ良い状態に保ち、より長く自分らしい生活を続けることには大きな意味があります。
DBSは「パーキンソン病を治す治療」ではなく、「パーキンソン病と長く付き合っていくための治療のひとつ」と考えてください。
DBSの手術や装置に関する質問
回答:パーキンソン病では、主に「視床下核(STN)」と「淡蒼球内節(GPi)」という2つの部位がDBSの標的になります。
STNとGPiはいずれも、パーキンソン病に対するDBSの治療標的として確立されており、動作緩慢、筋強剛、振戦などの運動症状や運動合併症の改善が期待できます。
ただし、それぞれに特徴があります。
STN-DBSでは、運動症状の改善に加えて、抗パーキンソン病薬を減量できることが多いのが特徴です。
一方、GPi-DBSも運動症状に有効で、特にジスキネジアに対する直接的な改善効果が期待できます。また、薬剤を大きく減量することを目的としない場合などに選択されることがあります。
したがって、「STNとGPiのどちらが優れているか」というより、「その患者さんにはどちらが適しているか」という視点で考えることが重要です。
当院ではこれまでの治療経験をもとにSTN-DBSを行っていますが、患者さんの年齢、症状、ジスキネジア、認知・精神面、薬剤の状況などを総合的に評価し、適切な刺激部位を選択します。
回答:DBSは脳に電極を入れる手術ですので、決して「リスクのない手術」ではありません。しかし、安全性を高めるためのさまざまな工夫を行いながら実施する、確立された治療法です。
DBSでは、脳を大きく切除するのではなく、細い電極を脳の深部に正確に留置します。
手術前にはMRIなどを用いて、患者さん一人ひとりの脳の構造や血管の位置を確認し、安全な電極の挿入経路を慎重に計画します。
それでも、脳内出血、感染、けいれん、機器に関連するトラブルなどの合併症が起こる可能性はあります。そのため、手術を受けるかどうかは、期待できる効果と手術のリスクの両方を十分に理解したうえで判断することが大切です。
「脳の手術だから怖い」と一人で悩むのではなく、まず実際にどのような手術なのか、どのような効果とリスクがあるのかを知ったうえで考えていただければと思います。
DBSについて相談したからといって、手術を受けると決める必要はありません。
回答:当院では、脳に電極を入れる手術は局所麻酔で行うため、手術中も意識があります。ただし、痛みをできるだけ感じないように麻酔を行います。
頭皮など痛みを感じる部分には局所麻酔を行います。一方、脳そのものには痛みを感じる神経がないため、電極が脳内に入っていくこと自体で痛みを感じることはありません。
手術中に意識があるのは、患者さんと会話をしたり、手足を動かしていただいたりしながら、刺激による症状の改善や副作用を確認するためです。
電極を留置した後、胸部に刺激装置(IPG)を植え込む手術は全身麻酔で行います。
「意識がある状態で脳の手術を受ける」と聞くと不安を感じる方も多いと思います。手術前に実際の流れや麻酔方法について十分に説明しますので、不安なことがあれば遠慮なくご相談ください。
回答:DBSは基本的に長期間にわたって行う治療です。効果が得られている限り、原則として治療を継続します。
DBSによってパーキンソン病そのものの進行を止めることはできないため、年月とともにDBSでは改善しにくい症状が目立ってくることがあります。
一方、ふるえ(振戦)や筋肉のこわばり(筋強剛)など、DBSが特に有効な症状については、長期間にわたって刺激を続けることに意味があります。
そのため、病気が進行したという理由だけでDBSを中止するわけではありません。
また、DBSは脳組織を意図的に破壊する治療ではなく、刺激を停止することができます。医学的に必要となった場合には、刺激装置や電極を取り外すことも可能です。
たとえば、装置の感染、皮膚のトラブル、機器に関連する問題などが生じた場合には、一時的または永久的に装置の一部あるいは全部を抜去する必要が生じることがあります。
「一度DBSを入れたら絶対に外せない」というわけではありませんが、治療効果が得られている患者さんでは、基本的には長期にわたって使用していく治療と考えてください。
回答:はい。患者さんの希望も伺いながら、その方に適した装置を一緒に選択します。
現在、日本では複数のメーカーからDBS装置が販売されており、装置によって充電式・非充電式、刺激方法、脳活動を記録する機能、患者さんが使用するコントローラーなどに違いがあります。
どの装置が適しているかは、必要な刺激方法だけでなく、年齢、生活スタイル、充電操作のしやすさ、将来の管理などによっても異なります。
当院では、それぞれの装置の特徴やメリット・デメリットを説明したうえで、実際の装置を見ていただき、患者さんの希望も伺いながら、当院で使用できる機種の中から選択しています。
回答:DBSの刺激が止まると、抑えられていたパーキンソン病の症状が再び強くなる可能性があります。そのため、電池が完全になくなる前に交換または充電することが大切です。
非充電式では、定期診察で電池残量を確認し、必要な時期に胸部の刺激装置(IPG)を交換します。通常、脳内の電極まで交換する必要はありません。
充電式では、患者さん自身やご家族による定期的な充電が必要です。充電の頻度や残量の確認方法は、医療スタッフの説明に従ってください。
ただし、刺激が急に停止すると症状が急激に悪化することもあります。「急に動けなくなった」「充電できない」などの場合は、速やかにDBSを担当する医療機関へ連絡してください。
手術後の生活や
通院についての質問
回答:経過が順調であれば、通常は手術翌日から歩行や食事を再開し、術後2〜3週間での退院を目指します。ただし、DBSでは退院した時点で治療が終わるわけではありません。
当院では、手術後数日してから刺激を開始し、症状を確認しながら刺激設定と薬剤を徐々に調整していきます。
退院後は、創が十分に治るまでは激しい運動などを控える必要がありますが、その後は体調に合わせて徐々に通常の生活に戻ることができます。
仕事への復帰時期については、仕事内容や手術後の症状、刺激調整の状況などによって異なります。
また、DBSの効果を十分に引き出すためには、退院後もしばらくは外来で刺激と薬剤の調整を続けることが重要です。
「手術から回復するまでの期間」と「DBSの刺激が最適な状態に落ち着くまでの期間」は別のものと考えてください。退院後も調整が必要ですが、調整を続けながら日常生活を送ることは可能です。
回答:必ずしもすべての診療をDBS手術を行った病院だけで受ける必要はありません。地域のかかりつけ医とDBS専門施設が連携して治療を続けることも可能です。
DBSでは、手術後しばらくは刺激の調整や薬剤の調整が必要になるため、DBSを行った施設での診察が重要です。
刺激条件が安定した後は、普段のパーキンソン病診療や処方を地域のかかりつけ医で行い、DBSの調整や装置の確認が必要なときにDBS専門施設を受診するという方法もあります。
DBSは長期にわたる治療ですので、患者さんが無理なく通院を続けられる診療体制をつくることも大切です。
回答:はい。遠方にお住まいであるという理由だけで、DBSを受けられないわけではありません。
DBSでは、手術前の検査、入院・手術、手術後の初期プログラミングなどのために、DBS専門施設への受診が必要になります。
一方、刺激条件が安定した後は、地域のかかりつけ医と連携することで、DBS専門施設への通院負担を軽減できる場合があります。
遠方の患者さんでは、通院方法やご家族のサポート、地域の医療機関との連携なども含めて、無理なく長期治療を続けられる方法を一緒に検討します。
「遠いからDBSは無理」と最初からあきらめず、まずはご相談ください。
DBSの相談に関する質問
回答:もちろん構いません。DBSについて知りたいと思った段階で、主治医やDBSを専門とする医師に相談していただいて大丈夫です。
パーキンソン病の治療には多くの選択肢があり、患者さんの症状や治療経過によってDBSを検討する時期も異なります。
主治医からDBSの話が出ていないからといって、必ずしも「DBSの適応ではない」という意味ではありません。
特に、
「薬は効くけれど、効いている時間が短くなってきた」
「オンとオフの変動に生活が振り回されるようになった」
「ジスキネジアのため薬の調整が難しい」
「仕事や趣味など、これまでできていたことをあきらめ始めている」
といった場合には、一度DBSについて相談してみてもよいでしょう。
相談することと、手術を受けることは別です。まず自分がDBSの適応になり得るのかを知ることから始めてください。
回答:はい。DBSが本当に必要かどうかを確認するための相談でも構いません。
DBSの適応は、年齢や病気の期間だけで決まるものではありません。症状、L-ドパへの反応、オン・オフ変動、ジスキネジア、認知機能、全身状態、そして患者さんが日常生活の中で何に困っているのかを総合的に評価して判断します。
診察の結果、現在の薬物療法を続ける方がよいと判断すれば、DBSをおすすめしないこともあります。
一方、DBSを検討する適切な時期に来ていると判断すれば、期待できる効果とリスクについて詳しく説明します。
DBSの相談は「手術を受けるための診察」ではなく、「今の自分にDBSが必要なのか、必要だとすればいつが適切なのかを確認するための診察」と考えてください。
回答:DBSは、ご本人が治療の目的やメリット・リスクを理解し、納得したうえで受けることがとても大切です。ご家族だけで手術を決める治療ではありません。
DBSを受けるかどうか迷うのは当然のことです。脳の手術に対する不安だけでなく、「本当に自分に効果があるのか」「今の生活を変えてまで手術を受ける必要があるのか」と悩む患者さんも少なくありません。
そのような場合には、まずDBSを受けるかどうかを決めるのではなく、
「今、何に一番困っているのか」
「DBSによって、その困りごとはどの程度改善する可能性があるのか」
「手術を受けない場合には、どのような治療を続けるのか」
をご本人、ご家族、医療者で一緒に整理することが大切です。
ご家族が「もっと動けるようになってほしい」と考えていても、ご本人が現在の生活に大きな不自由を感じていないのであれば、必ずしもすぐにDBSを行う必要はありません。
手術への不安がある場合は、その内容を医療者に伝えてください。期待できる効果やリスク、手術を受けない場合の選択肢を確認し、ご本人の気持ちを尊重しながら検討します。
DBSについて相談することは、手術を決めることではありません。
ご本人だけでなく、ご家族も一緒に説明を聞き、十分に納得したうえで治療方針を決めていくことが大切です。
回答:いいえ。相談したからといって、手術を受ける必要はありません。
DBSの相談では、まず本当にDBSが適しているのか、薬の調整で改善できる可能性はないか、他の治療法が適していないかなどを検討します。
そのうえで、DBSによって十分なメリットが期待できると判断した場合に、治療の選択肢として手術をご提案します。
「自分はDBSの適応なのだろうか?」「今がDBSを考える時期なのだろうか?」という相談だけでも構いません。
まずはDBSについて正しく知り、ご自身に適した治療かどうかを一緒に考えることが大切です。
回答:パーキンソン病に対するDBSは保険適用となっている治療です。
また、一定の条件を満たす患者さんでは、指定難病の医療費助成制度や高額療養費制度などを利用することで、自己負担を軽減できる場合があります。
実際の自己負担額は、年齢、所得、加入している医療保険、指定難病の認定状況などによって異なります。
詳しい費用については、受診時に医療相談窓口などでご確認ください。
他の治療法についての質問
回答:薬をポンプで持続的に投与し、オフ時間や症状の変動を減らすことを目指す治療があります。
通常の内服薬では、薬を飲んだ後に血中濃度が上がり、その後徐々に低下します。病気が進行すると、この変化に伴ってオンとオフが大きく変動することがあります。
そこで、薬をできるだけ持続的に投与し、安定した効果を得ることを目指すのが、ポンプなどを用いた持続投与療法です。
最近では、レボドパ製剤を持続的に皮下に注射で投与する治療(ヴィアレブ)がよく行われています。
DBSは脳の神経回路を電気刺激によって調整する治療であるのに対し、これは薬をより安定して体内へ届けることで症状をコントロールする治療です。
どの治療が適しているかは、年齢、症状、認知機能、薬への反応、生活スタイル、機器を自分やご家族で管理できるかなどによって異なります。
「DBSができない=治療法がない」というわけではありません。
それぞれの治療の特徴を比較し、一人ひとりに適した方法を検討することが大切です。
回答:治療の特徴が大きく異なるため、症状や治療目的に合わせて選択します。
集束超音波治療(FUS)は、頭蓋骨の外から超音波を一点に集中させ、脳の標的部位に小さな病変を作る治療です。頭蓋骨を開けたり、体内に電極や刺激装置を植え込んだりする必要がないことが大きな特徴です。
一方、DBSは脳内に電極を留置する手術が必要ですが、手術後も刺激する場所や強さを調整できることが大きな特徴です。また、必要に応じて刺激を停止することもできます。
これに対して、FUSで作られた病変は元に戻すことができないため、基本的には不可逆的な治療です。
FUSは薬で十分に改善しないふるえに対して行われるほか、DBSが適していない患者さんの運動症状に対して検討される場合もあります。
DBSでは、動作緩慢、筋肉のこわばり、ふるえ、症状の変動やジスキネジアなどの改善が期待できます。ただし、すべての運動症状に効果があるわけではありません。症状や治療目的、期待できる効果とリスクを比較して選択します。
「手術をしたくないからFUS」「新しい治療だからFUS」という選び方ではなく、DBSを含めたそれぞれの治療のメリットとデメリットを比較して選択することが大切です。
回答:iPS細胞を用いた治療は非常に期待されている新しい治療ですが、DBSとは治療の仕組みや目的が異なります。どちらか一方がもう一方に置き換わるというより、将来的にはそれぞれの特徴を生かして使い分ける治療になると考えられます。
パーキンソン病では、脳内でドパミンを作る神経細胞が減少します。iPS細胞を用いた細胞移植治療は、iPS細胞から作製したドパミン神経前駆細胞を脳内に移植し、その働きを補うことを目指す治療です。
京都大学で行われた臨床試験では、安全性とともに、一部の患者さんで運動症状の改善が確認されました。その成果をもとに、2026年には日本で条件及び期限付き承認を受け、新たな治療選択肢として実用化への大きな一歩を踏み出しています。条件及び期限付き承認であり、承認後も有効性の検証や安全性の確認が必要です。対象となる患者さんや実施施設にも条件があります。
一方、DBSは脳内に電極を留置し、電気刺激によってパーキンソン病で乱れた神経回路の働きを調整する治療です。すでに25年以上にもわたる治療実績があり、刺激の強さや場所を患者さんの症状に合わせて繰り返し調整できることが大きな特徴です。
したがって、「iPS細胞治療とDBSのどちらが優れているか」という単純な比較ではなく、それぞれ異なる仕組みと特徴をもつ治療と考えるのがよいでしょう。
また、iPS細胞治療によってパーキンソン病そのものが完全に治癒することが証明されたわけではありません。パーキンソン病にはドパミンだけでは十分に改善しない症状もあり、長期的な効果についても今後さらに検証が必要です。
そのため、「将来iPS細胞治療を受けたいから」という理由だけで、現在必要な治療を先延ばしにすることはおすすめしません。
現在の症状に対してDBSが適しているのであれば、まずDBSによって生活の質を改善し、将来、新しい治療が適応となった時点で改めて治療選択を考える、という考え方もあります。
新しい治療を希望している場合も、現在の症状に必要な治療を含めて主治医と相談してください。