DBSの適応
どのような患者さんが
対象になるのでしょうか?
DBSはすべてのパーキンソン病患者さんに適した治療ではありません。期待できる効果とリスクを踏まえ、どのような患者さんに、どのタイミングで治療を行うかを検討することが重要です。
当院では、主に以下のような条件を確認しながら、DBSが適しているかを検討します。
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パーキンソン病の診断と、
L-ドパへの反応DBSの効果を予測するうえで特に重要なのが、L-ドパ(レボドパ)に対する反応です。
一般的に、L-ドパを服用したときに動作緩慢や筋肉のこわばりなどの運動症状が明らかに改善する患者さんでは、DBSによる改善も期待できます。
一方、多系統萎縮症(MSA)や進行性核上性麻痺(PSP)など、パーキンソン病以外の「パーキンソン症候群」では、一般的にDBSの十分な効果は期待できません。そのため、DBSを検討する前に診断を十分に確認します。
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適切な薬物療法を行っても、
日常生活に支障があること薬の種類や服用方法を十分に調整しても、次のような症状や治療上の困りごとによって日常生活に支障がある場合には、DBSを検討することがあります。
- 薬の効果が短くなり、動けない時間が増えてきた(ウェアリングオフ)
- 一日の中で「オン」と「オフ」の変動が大きい
- 身体が自分の意思とは関係なく動いてしまう(ジスキネジア)
- 幻覚や吐き気などの副作用のため、必要な治療が十分に行えない
- 薬では十分に改善しない強いふるえ(振戦)がある
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認知機能や精神状態が、
治療に適していることDBSでは、認知機能や精神状態を手術前に詳しく評価します。
認知機能の低下や精神症状があるからといって、直ちにDBSを受けられないというわけではありません。その程度や原因、薬剤との関連などを含めて総合的に判断します。
ただし、明らかな認知症や、十分にコントロールされていない重い精神症状がある場合は、一般にDBSの適応が制限されます。
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年齢だけでなく、
全身状態を含めて判断すること年齢も重要な検討項目のひとつです。当院では、原則として75歳未満をひとつの目安としていますが、これは絶対的な基準ではありません。
75歳以上であっても、全身状態、認知機能、症状、L-ドパへの反応、手術のリスク、期待できる生活上のメリットなどを総合的に評価し、DBSが適切と考えられる場合には個別に検討します。
DBSの適応はどのように
評価するのでしょうか?
DBSを受けられるかどうかは、ひとつの検査だけでは決まりません。
診察や運動症状の評価に加え、L-ドパ服用前後で症状がどの程度変化するかを確認する「L-ドパ反応性評価(ドパテスト)」、各種画像検査、認知機能検査、精神・心理面の評価などを行います。
- 診察・
運動症状の評価 - L-ドパ反応性評価
(ドパテスト) - 各種画像検査
- 認知機能検査
- 精神・
心理面の評価 - 患者さん自身の
目標
年齢や全身状態だけでなく、「現在、何に一番困っているのか」「DBSによって、どのような生活を取り戻したいのか」という患者さん自身の目標も非常に重要です。
これらを踏まえ、DBSによってどの症状がどの程度改善する可能性があるのか、手術によるメリットがリスクを上回ると考えられるかを検討したうえで、患者さんやご家族と相談しながら治療方針を決定します。
DBSを検討するタイミング
DBSは「最後の手段」ではありません
かつてDBSは、「薬物療法をできる限り行い、それでも治療が難しくなった場合の最後の手段」というイメージを持たれることが少なくありませんでした。
DBSは「最後の手段」ではなく、
適切な患者さんに、適切なタイミングで検討する治療選択肢のひとつです。
特に、L-ドパによって症状は改善するものの、適切な薬剤調整を行ってもウェアリングオフやジスキネジアによる生活への支障が続く場合は、DBSについて検討するひとつのタイミングです。
比較的若く、L-ドパへの反応が良好でありながら運動合併症によって生活に支障をきたしている患者さんでは、病気がさらに進行するまで待つのではなく、適切な時期にDBSを導入することの有用性も報告されています。ただし、導入する時期は一人ひとりの状態に合わせて判断します。
「症状の重さ」だけでなく
「その人の生活」から考える
DBSを検討するタイミングは、年齢や病気になってからの年数だけで一律に決められるものではありません。
大切なのは、パーキンソン病によって「その人が大切にしている生活」がどの程度損なわれているかという視点です。
例えば、オフ症状によって仕事に支障が出たり、薬の効く時間に合わせなければ仕事ができなくなったりすることがあります。日常生活に介助が必要になるまで待つのではなく、仕事や大切な活動への影響が出てきた段階で、DBSを含む治療の選択肢について検討する意義があります。
仕事に限らず、次のような変化も相談のきっかけになります。
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一人で外出することが
難しくなってきた -
趣味や旅行を
諦めるようになった -
家事ができなく
なってきた -
家族の介助が
必要になってきた -
薬が切れることが怖くて
外出できない
「まだ早いかも」と思っている
ときこそ、一度相談を
DBSについて相談することは、すぐに手術を受けることを意味するものではありません。
評価の結果、薬物療法の調整を続ける方がよいと判断されることもあれば、DBS以外の治療法が適している場合もあります。
一方で、L-ドパが最もよく効いているときでも動きにくさが強い場合は、DBSによって得られるメリットが限られてしまうことがあります。
- 「薬は効く。でも、効いている時間が短くなってきた」
- 「オンとオフに振り回されるようになってきた」
- 「パーキンソン病のために、仕事や大切な活動をあきらめ始めている」
と感じるようになったら、DBSを専門とする医師に相談するひとつのタイミングです。
DBSを受けるかどうかを決めるためではなく、
「自分にはどのような治療の選択肢があるのか」を知るために相談する。
それが、適切なタイミングで治療を選択するための第一歩です。
DBSについて相談するための
セルフチェック
薬の効き方や日常生活について、気になることはありませんか?
当てはまる項目をチェックして、診察時に相談したいことを整理してみましょう。
ご利用にあたって
このチェックは、梅村淳医師の臨床経験をもとに、患者さんが症状や日常生活の困りごとを振り返り、診察時の相談に役立てていただくために作成しました。
チェック数は、DBSへの適応の有無や治療の必要性を示すものではありません。DBSが適しているかどうかは、症状や薬への反応、全身状態などを踏まえて、医師が個別に判断します。
当てはまった数0個
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0〜2個
気になる症状や生活上の困りごとがあれば、チェック数が少なくても主治医にご相談ください。DBSについて関心がある方は、本サイトの解説もご覧ください。
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3〜5個
チェックした内容を振り返り、薬の効き方や生活で困っていることを整理してみましょう。DBSについて情報収集し、疑問に思ったことを主治医に相談してみましょう。
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6個以上
チェックした内容を医師に伝え、現在の治療で改善できることや、DBSを含む治療の選択肢について相談してみてはいかがでしょうか。
チェックした内容を、
診察時の相談にお役立てください
チェック数にかかわらず、気になる症状や生活で困っていることがあれば、主治医にご相談ください。DBSを含め、今後の治療の選択肢について相談できます。
DBSについて相談することは、手術を受けると決めることではありません。まずは、今困っていることや、これからも大切にしたい生活について、ご自身の希望を医師に伝えてみましょう。